ワインの構造

ワインの構造についての考察

シャンパンの泡

「シャンパンは五感で味わう」


シャンパンの美味については言わずもがな、その外観も美しい。
グラスの底から絶え間なく紡ぎだされる小さな泡は、「祝福」の象徴である。
底から上昇し液面に到達した泡は、小さな音を立て、弾けて消える。
シャンパンは五感で味わう飲み物である。


「シャンパンは戦いに勝った時には飲む価値があり、負けた時には飲む必要がある」

ナポレオン・ボナパルトが残した言葉である。


「シャンパンの泡=瓶内二次発酵」


シャンパンの泡について。
スパークリングワインが上質であるかどうかを判断する基準の一つが、「泡の持続性」である。
一般的に、泡が長く続くワインは、上質のワインと言われる。
その理由は。


シャンパンは「瓶内二次発酵」により炭酸ガスを付与したワインである。
この「瓶内二次発酵」のため、シャンパンの泡は絶え間なく長く持続することとなる。


「瓶内二次発酵」以外の炭酸ガス付与方法としては、
タンク内で二次発酵を行う「シャルマ方式」
瓶内二次発酵の後、タンクに移動(トランスファー)させた後、澱を除去した後瓶詰を行う「トランスファー方式」、
スティルワインに炭酸ガスを吹き込む「炭酸ガス注入方式」
などがある。
これらの方法で炭酸ガスを付与しても、シャンパンのような緻密で繊細な泡を付与することはできない。これらの方式は、炭酸ガスを付与する空間が広く、また、液を移動させる際の炭酸ガスの損失が大きいため、緻密な泡に成りえない。


一方、「瓶内二次発酵」では、瓶内で、発行により生じた炭酸ガスが、ゆっくりと時間をかけて、丁寧にワインに染み込むことになる。そのため、炭酸ガスとワインの結合力が強固なものとなり、炭酸ガスがワインから乖離しがたくなっている。その結果、泡が少しずつ、長く持続することとなる。


「瓶内二次発酵により水素結合が形成される」


化学的な観点からこれを説明すると、炭酸ガス(CO2)が水分子(H2O)やアルコール(C2H5OH)と水素結合しているため、泡が持続するという説明になる。


水素結合とは、分子中の水素原子(H)が、ほかの分子中のフッ素原子(F)、酸素原子(O)、窒素原子(N)に引き寄せられる結合のことである。


シャンパンの場合、炭酸ガス(CO2)分子中の酸素原子(O)が水分子(H2O)やアルコール分子(C2H5OH)中の水素原子(H)と水素結合している。そのため、炭酸ガス(CO2)が乖離しがたくなっており、泡が長く持続することになる。